Keep My Word

旅とタンゴをこよなく愛する。カラダナオル創業者。

人生を楽しむための処世術

今日、たまたまカウチサーフィンのイベント欄を見ていたら、La Bomba de Tiempoというバンドのイベントが、無料で開催されていることを知った。

ブエノスアイレスではすごく有名なドラムのバンドで、みんなが大絶賛しています)

彼らは毎週、月曜日にブエノスアイレスこちらの場所でプレイをしているのだが、何かのイベントで彼らをちらっと見ただけできちんと見ていないなと思い、行ってみることにした。

夜7時から開始とあったのだが、行くと決めたのはすでに夜6時を回っていた。イベントの詳細を見ると彼らのFACEBOOKに姓名を書けば無料で入場出来ると書いてあったので、すでに開始1時間前だが自分の名前を記入して申し込んでおいた。

イベント開催場所を確認すると、ざっと見積もって自転車で30分ぐらいのところだと検討をつけて6時半くらいに家を出ると、きちんと7時きっかりに会場に到着した。しかし、すでに長蛇の列が並んでおり、もう開始時間のはずなのだが、一向に列が動く気配がない。

仕方がないと諦めて列に並ぶと会場の入り口までたどり着いたのは、八時ちょっと前だった。入り口では自分の苗字のアルファベット順に並ぶよう指示され、「二時間前にFACEBOOKに書いたばかりだから、どうせ自分の名前なんてないだろう」とたかをくくっていたが、やはり彼らのリストに自分の名前はなかった。

これが日本だと「残念!」となるかもしれないが、ここはブエノスアイレスなので、受付の人が手書きでリストに名前を付け足して、なんの問題もなく入場できた。

Labomba01

結局、演奏がスタートしたのは8時過ぎだったが、さすがはブエノスアイレスで一、二を争う人気バンドだけあり演奏は素晴らしく、楽しい時間を過ごした。

今日の一連の出来事で思ったのだが、「楽しむこと」に関して、この国は日本より圧倒的に敷居が低いということだ。

日本で何をするにも予約が必要で、人気のバンドや劇団を見ようと思うと何ヶ月も前から予約しないといけない。またべらぼうに値段が高い。ほんの思いつきでさっと自転車を30分走らせただけで、無料で人気バンドのイベントに参加出来るということはありえないし、日本ではリストに名前がないと絶対に入れてもらえない。

そんなこんなで、バンドがひと通り演奏を終えると、今度はDJが音楽を鳴らし始めた。

Labomba02(お酒も飲まずに、ひたすら踊る人々はブエノスアイレスの風物詩です)

まだ夜9時を過ぎた頃だけど、もう会場の人たちは上半身裸になるは、踊り狂うはで大変なことになった。この地の人たちはお酒をあまり外では飲まないが、夜出かけるのは大好きだ。そして、たいして飲むこともなしに朝5、6時までひたする踊る。

そんな人たちを見ながら、やはりブエノスアイレスに来てよかったなと思った。一見、「バカ」としか思えない風景が広がっていたが、彼らは少なくても日本人より「自分の人生を楽しむ」ことにはるかに長けている。

なぜならば、そのための敷居が驚くほど低いから。

日本、特に東京だと人生を楽しむためには、奇妙な話だが一生懸命に努力をしないといけない。なにをするにも、時間とコストがかかるからだ。ブエノスアイレスでは少なくても、ちょっとした処世術さえあれば、たいしてお金をかけずに人生を楽しむことが可能だ。

アルゼンチンはバラマキ政策が原因で財政破綻を経験し、経済はずっと落ち込んでいたが、最近になってようやく上昇の気配を見せている。

ただ彼らを見ていてふと思うのは、財政破綻をし、度重なるひどいインフレを経験して、経済的な辛酸をさんざん舐めたあとも、彼らのように日本人は人生を楽しめるほどの強さがあるのだろうか、ということだ。