メキシコシティは最高だ。
だが、しかしこれはもしかしたらブエノスアイレスに2年住んだ反動という可能性もある。
想像してほしい。
あなたが2年住んだところよりも、食事もバライティに富んでおいしく、ちゃんとした日本食屋もある。そして物価も安い。さらにインフレとも無縁だ。言葉もその2年住んだところと同じ言葉を話し、天候も非常に温暖で過ごしやすい。また治安も外国人が行き来するようなところは安全で、夜中で一人歩いてもそれほど危険はない。
片やあなたが住んだ街は、食事といえば肉しかなく、魚やましてやまともな日本食屋など皆無だ。インフレは年25%にもなり、スーパーに行くたびに気が滅入るくらい値上がりしている。車のマナーも著しく悪く、街で自転車を乗ることは命がけだ。そして、一番の問題は治安の悪さだ。窃盗や空き巣があとを絶たず、年々悪化している。
結果、ずるずると滞在を引き延ばし、今のところブエノスアイレスに帰るのは10月末あたりを予定している。こうなってくると、どこかの無職の人にも言われたが、「住所不定」となってしまった。
「どこに住んでいるの?」という質問に素直に答えられない。どちらかと言うと、メキシコシティに住みたい。しかし、荷物はブエノスアイレスだ。帰るところはブエノスアイレスだが、住むところはメキシコシティという気持ちになる。ブエノスアイレスも日本と同じように年に一回行けばいいか程度のポジションになる可能性もある。
ブエノスアイレスが圧倒的にどこよりも優れているところは、タンゴだ。あとは肉もうまいが、ブエノスアイレスに6年住んだ友人エリックいわく「いや、肉ですらメキシコシティに負けている。ここにはブエノスアイレスよりもうまいアサード(バーベキュー)を出すところがあるから」とのことだ。
ブエノスアイレス、ひいてはアルゼンチンを見ていると、「出来ないダメ息子」を持った心境になってしまう。完全に甘やかされて育ったから、文句ばかり言い、まるで生産性がない。一番の問題はその本人の自覚のなさだ。
でも、やはり愛情はあるので、あと10年くらいすればすくすく立派に育ってくれるのではないかと淡い期待をしてしまう。なぜなら、そのポテンシャルは備えているのだから。(アルゼンチンは天然資源も豊富で、土地も平坦な土地がほとんどで、広大な平野が広がっている。水も食料も事欠かず、食料自給率は200%だ)
また外国人もブエノスアイレスではあまり10年以上住んでいる外国人なんていなかったが、ここメキシコシティにはわんさかいる。(ちなみに今、Airbnbで借りているマンションのオーナーもイスラエル人でもう住んで11年とのことだ)
それだけ世界中から投資も人も集まってきているのだろう。
ビジネスなんて結局は人との出会いが一番大事なので、このままそんな魅力的な人々と交りながら、これからのことを考えていきたい。