人類の進化にフォーカスして、それを当時の科学的知識と知見を総動員して書いたコリン・ウィルソンのSF大作が「賢者の石」だ。
発行が1971年とあるので、もう50年以上前の本ではあるが、まだ新しさを感じる。一時期、「サピエンス全史」が一世を風靡したが、自分の中では人類の歴史は「希望の歴史」によって書き換えられてしまった。
希望の歴史に関しては、語ることが多すぎて、全人類がこの本を読めば、世界平和が訪れるのではと思うぐらい思い入れが強い本だ。
しかし、今回は「賢者の石」について語りたい。そもそも、コリン・ウィルソンは「アウトサイダー」という歴史的名作を書いて一躍有名になった人だ。自分も10代の頃に読んで、衝撃を受けた一人だ。
そのころに比べて人コリン・ウィルソン自体が成熟して、今回の「賢者の石」に繋がっている。(アウトサイダーを書いたのは彼が25歳の時だから、驚異的な知性の持ち主だと思う。)
ロンドンに住んでいることに彼の講演会とサイン会に行ったこともあるぐらいのファンでもある。(当時コリン・ウィルソンは宇宙人の研究をしていた・・・・怪しい!)
彼は自分が興味を持った事柄に関して、その巨大な知性を使ってなるべく客観的に考察し、いつも自分なりの結果を読者に提示してくれる。それが世界中の文豪だったり、オカルトだったり、犯罪者だったり、挙げ句の果てには宇宙人だったりする。
人類の進化の過程で重要なのは、「意識の拡張」であり、そのきっかけになるのが前頭葉前部への刺激だ。(作中ではニューマン合金というものを使用する。)
奇しくも「ひとの気持ちが聴こえたら」では部位は違うが、ハーバード大学の教授が開発したTMSという方法で、脳を直接刺激する。
この本は実話なので、50年の時を経て科学的にコリン・ウィルソンが提唱していた方法が有効だと証明されたわけだ。(もちろん、効果は個人差があることも著者は強調しているし、その効果は永続的ではない。)
人類は常に進化している。
50年も前からフィクションとして書かれていたことが今になって現実化しているわけだが、この次の進化はもっと早いだろう。インターネット、スマホ、ChatGPTなどを見ると、どれもここ10年、20年で急激に進化したものだ。一度、その流れが始まる、誰にも止められない。
自分が主催しているカラダナオル研修会では、「変容」をテーマに行っているが、まさか参加者の脳に電極をぶっ刺して行うわけにはいかない。だが、それぐらいの刺激的な内容をこれからも提供していきたいとは思っている。(ちなみに研修会の参加者にはとある石を差し上げているが、これをこれからは「賢者の石」と呼ぶことにしよう・・・・だめか。)