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旅とタンゴをこよなく愛する。カラダナオル創業者。

もののけ姫と物事の二面性について

物事には常に二面性がある。

日本人には関係のない話しなのであまり知られていないが、アルゼンチンを始め南米の多くの国は、アメリカ人などに対して、入国時に140ドル程度を課している。(詳細はこの記事でご確認ください)

この話はブエノスアイレスで知り合ったアメリカ人から聞いていたので、そのときは「アメリカ人、大変だなあ」としか思わなかった。

しかし、今日アルゼンチン人のメルセデス先生にそのことを話すと、口調が険しくなり、「私が生まれてからずっとアメリカ人はアルゼンチン人がアメリカ入国時には、140ドルくらいのお金を課している。それなのに彼らはずっとただでアルゼンチンに入国出来たわ!」とまくしたてられた。

この法律はアルゼンチンでは2008年から施行されたので、比較的新しいわけだが、メルセデス先生が覚えている限りでは、相当長い間アメリカ入国時にアルゼンチン人は140ドル程度支払っていたらしい。(ちなみに日本人はアルゼンチンにはただで入国出来る。アルゼンチンは自国の人が支払う同じ料金をその各国の人たちに課すことにしている)

このことについて少しネットで調べたところ、下記記事を見つけた。

Argentina Says Screw You to Foreign Tourists

上記で特に気になった点は「Besides the fact that much of the U.S. cost is because of security and background checks and the Argentine one is simply going into someone’s pocket(USではセキュリティチェックなどでこのお金は使われ、アルゼンチンでは、単純に誰かの儲けになる)」と書かれていることだ。

アルゼンチンでも当然、セキュリティチェックはあるので、そこにコストはかかるし、そもそもアメリカが南米の人たちに140ドル近くもかかるビザ取得を要求しなければ、このようなことにはならなかった。

またアルゼンチンとアメリカは経済格差が大きく、アルゼンチン人にとっての140ドルの負担はアメリカ人にとっての140ドルより大きい。

この記事にはアメリカにとって観光は重要な産業ではなく、例え外国人の観光客がゼロになってもニューヨークやフロリダなどのわずかの州しか影響を受けないが、アルゼンチンにとっては観光は基幹産業なので、大きなダメージを受けるだろうとある。

ここまで来ると、俄然アルゼンチンに肩入れがしたくなる。

今度、アメリカ人が「アルゼンチンに入国するのに140ドルもかかるんだよ、まったくやってられない!」と愚痴ったら、「あんたの国が最初に彼らに対して同じぐらいのお金を徴収するから、そういうことになるんだよ」とやさしく言ってあげようと思う。

このように物事には常に二面性があり、ハリウッド映画のように勧善懲悪とはならないことを彼らが学んでくれることを願う。

もののけ姫はそのことを教えてくれる)