Keep My Word

旅とタンゴをこよなく愛する。カラダナオル創業者。

どうしてみんなフットボールに熱狂するのか?

誰も予想していなかったが、日本がデンマーク相手に最高のプレーを見せて、見事一次リーグを突破した。カメルーン戦では低調の試合内容で海外メディアからはひどい評価を受けた日本だったが、この試合では非常に好意的な評価を得ることが出来た。

”A disappointing match, if only because Japan were so very, emphatically superior where I had been anticipating a real battle.”英国ガーディアン紙
(日本があまりに素晴らしかったので、ガチンコ勝負を期待していた私にとっては残念なゲームだった)

まさかこのような素晴らしい試合内容で勝ってしまうとは、本当に驚きだった。この勢いがあれば、岡田監督が目標に掲げていた「ベスト4」も、にわかに現実味を帯びてくる。当初は誰もが失笑をしていた目標だったが、今となっては誰も笑わない、いや笑えない。

サッカー熱が日本列島を支配しているが、なかにはサッカーなんて全く興味がない人たちもいるわけで、その中の一人に「サッカーのなにがそんなに面白いの?」と言われて、理由をいくつか考えてみた。

1. 手を使わず足でボールを扱うスポーツなので、それだけ不確実性が高まり、プレーの幅を広げている。

2. 11人のチームプレイなので、必ずしも身体的に優れているチームが勝つとは限らない。

3. 1足す1が3や4になる場合もあり、また1になる場合もある(今大会で前者が今の日本であり、後者はカメルーン代表だろう)

カンヌでパルムドールを2度も受賞したユーゴ人映画監督エミール・クストリッツァは「ピクシーのフェイントの美しさはほとんどのユーゴ映画よりも価値がある」とかって名古屋グランパスで活躍したストイコビッチのプレーを讃えた。(こちらの記事を参照)

たしかに彼のプレーは一個の完成された芸術であり、日本で活躍した外国人プレイヤーのなかでもその技量は突出していた。

このように人々に感動を与えるほどの高い芸術性を持ったスポーツはほかにない。

高い芸術性を内包していることがこれほどまでに人々をサッカーに熱狂させる最大の理由なのかもしれない。松井大輔のプレーのひとつひとつに「オシャレ」さを感じるのも、本田圭佑の骨太い体から繰り出されるシュートされたボール自体に何かしらの意志を感じるのも、芸術のなせる業なのだろう。

サッカー観戦のせいで寝不足の毎日だが、4年に1度のことであり、また日本が今後これほどまでに最高の状態で決勝トーナメントに進むことはそうそうないので、これからも応援していきたい。



(フットボールをこよなく愛する男の物語。洋書ですがNick Hornbyの英語はとても読みやすくお薦めです)