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旅とタンゴをこよなく愛する。カラダナオル創業者。

メキシコにおけるマイクロファイナンスの現状と可能性について思いを馳せる

マイクロファイナンスが岐路に立たされている。

インドを襲うマイクロファイナンスの悲劇、借金苦で貧困層の自殺多発

情報弱者に法外な金利でお金を貸し付けているマイクロファイナンスが後を絶たない。 ここメキシコでもコンパルタモス銀行が年利100%で貸付を行い、暴利を貪り、挙句の果てに上場して、さらに儲けてしまった。

もちろん、マイクロファイナンスといえどもあくまで営利企業ではあるので、金利をとるのは仕方がないが、ここメキシコでは100%程度の金利は当たり前であり、また多くの貧困層がいくつものマイクロファイナンスからお金を借りており、破綻寸前という状態だ。

Microfinance in Mexico: beyond the brink

個人的にはなかなかショッキングなニュースだ。

もともとユネス氏のソーシャルビジネスの考え方に共感して起業したので、それを曲解し、弱者を食い物しているのが彼が始めたマイクロファイナンスというのはなんともやり切れない。

もちろん、ユネス氏のグラミン銀行は最高でも金利20%程度で貸しており、物乞いには無利子で貸付を行っている非常に良心的な機関ではある。だが、マイクロファイナンスの構造的な問題として、貧困層に貸付を行い、それを集金するために彼らのところに直接赴くというコストがかかる。

このために金利を上げざる得ないというのが暴利を貪るマイクロファイナンスの言い分だ。 だが、それもケニアで生まれたMペサという携帯を使った安価な送金サービスにより、アフリカ大陸では解決しつつある。

これから世界はどんどんと二分化していく。 お金を持つ資本家たちと、彼らに使われる労働者たちだ。

アフリカで食うに困っている人たちは、マイクロファイナンスによる恩恵を受けられるかもしれない。だが、それでも貧困から抜け出すことはないだろう。

そして、もうひとつの事実として、イノベーションは資本家からしか生まれない。 食うに困っている人たちからは世界を驚かすようなイノベーションは生まれない。

そのことを考え合わせると、メキシコのようなアフリカ各国とは違う発展途上国にとっては、貧困層マイクロファイナンスによる直接貸付を行うよりは、良心的な起業家を育成して彼らに貸付を行い、彼らが貧困層を雇用できるようなイノベーションを生むようにしたほうが多くの人が恩恵を受けられるのかもしれない。

世界の貧困の真の問題は、貧困層富裕層しかいなくなる、2極化した世界だ。 いかに中間層を養い、そこのボリュームを増やすかが、世界をより良い世界に変えることに繋がる。