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旅とタンゴをこよなく愛する。カラダナオル創業者。

経済発展の次に来るものは:ブエノスアイレスとボゴタの狭間で

10代、20代の頃はずっと文学と哲学に夢中だったけど、最近は経済に夢中だ。

30代になってから、特に起業してからたくさんのビジネス本、それに経理と税金の本なども読んだ。

ただそういうミクロの動きには最近興味はなくなり、どちらからというほかの国に行って、現地に人たちの生活をじかに見て、そこからその国の経済全体に思いを馳せるのが今のマイブームだ。

たとえば有名な投資家ジム・ロジャースが世界を旅し、実際に自分で目で見て、その国に投資をするかどうか決めるというのは、筋が通っていると思う。

ただ・・・・・その残念なことに経済3流、政治4流のアルゼンチンという国にうっかり居着いてしまっている。(コロンビアに行く前はアルゼンチンはせいぜい2流国と思っていたのですが、あの国の経済状態を見てしまうと、アルゼンチンは遥か下だなと痛感して、ワンズワードによる世界経済調査では格下げになりました)

だが、例えば今政治、経済ともに一流の国と言われる人たちは、その生活に満足しているのだろうか?日本は経済1流、政治3流と言われていたが、毎年3万人もの自殺者を出しているし、経済も政治も比較的うまくいっているヨーロッパも大変な混乱のなかにある。

結局のところ、人生楽しいのが一番と思うと、アルゼンチンという国は俄然輝きだす。アルゼンチン人のこの「根拠なき幸福感」というものは実際素晴らしい。

日々、ドル規制が進み、今では皆こぞってドルをブラックマーケットで売っぱらい、輸入規制も今年になって一段と厳しくなり、MacBookAirなどは日本の倍以上の値段がする。どのスーパーマーケットに行っても、国内品しかないので、品揃えには大差ない。

日々、出口なく保護政策を実施に、着実にその破綻の足音が聞こえてくるが、人々は肉を食い、ワインを飲み、タンゴを踊り毎日祭りのような日々を送っている・・・・ように見える

Bogota01

同じ南米の国コロンビアの首都ボゴタのスーパーマーケットには日本の紀伊國屋のように輸入品が大量にあり、MacBookAirも日本と同じ値段で変える。洋服もレストランも充実しており、さらにブエノスアイレスよりも若干安い。でも、ブエノスアイレスの人たちのほうがなんだか無邪気に人生を楽しんでいるように見えてしまう。

繰り返し言うが、アルゼンチンは明日何が起こるかわからない政情不安定な国である。過去に何度か国が破綻しており、軍事政権の頃は頻繁に人が誘拐され、理由もなく処刑されていた国だ。(ちなみに30年ほど前の話しです)

結局のところ、経済や政治という目に見える枠組みを超えたところに、人の幸福というものは存在し、それはきっともっと身近なこと・・・・・例えば好きな人から同じように好かれるとか、人と人とのあいだにスペースがありコミュニティが存在し、それに守られていたり、そんな本来見落としがちなところから生まれるのではないだろうか。

「金持ちにはなりたいけど、すげー楽したい」というのがアルゼンチン人の経済に対する通念だと思う。日本の「サービス残業」の実態を聞いたら、きっと卒倒してしまうだろう。アルゼンチンが再び先進諸国の仲間入り、もしかくコロンビアのように素晴らしい経済発展を遂げることはもうないかもしれない。

でも、いいじゃないか。

別に経済発展がすべてではない。彼らはもう何度も財政破綻しているので、そのことはDNAに刻み込まれているのだ。経済発展以外のなにかをきちっと形として表現出来るようになれば、彼らは世界中から注目する存在になるかもしれない。そんなことをのんきに夢想しながら、ブエノスアイレスで日々を送っている。

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ちなみに自分にとって、「経済とは?」と訊かれたら、柳沢教授のセリフが浮かびます。全巻通して読む価値のある深い漫画です。彼の経済について洞察、人生についての洞察は漫画というジャンルを飛び越え、すでに文学の域に達しています。全巻大人買いをおすすめします。