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旅とタンゴをこよなく愛する。カラダナオル創業者。

奇跡の脳:なまけものの悟り方

ご存知だろうか?

左脳が機能しなくなると、人は全く話すことができなくなるが、歌うことはでき、右手で文字を書くことはできなくなるが、両手を使ってタイピングをすることはできる。しかし、両手で書いた文章を読むことはできない。

 

話すこと。(左脳)

歌うこと。(両方の脳)

利き手の右手で書くこと。(左脳)

両手でタイピングすること。(両方の脳)

読むこと。(左脳)

 

右脳派人間、左脳派人間などと都市伝説のようにまことしやかに囁かれていたが、都市伝説でもなんでもなく紛れもない事実だったらしい。

 

ハーバード大学に勤務する脳神経科学の専門家であるジル・ボルト-テイラーが脳卒中に倒れて、それから8年かけて左脳の機能を取り戻すまでを描いた本だ。

 

 

TEDの講演もあるので、ぜひ一度見て欲しい。

 

個人的に興味をそそられたのは、俗に言う「悟りの境地(涅槃の境地)」についての件だ。

 

左脳が判断力を失っているあいだに見つけた、神のような安らぎと静けさに身を任せるのはやめて、回復への混沌とした道のりを選ぶためには、視点を「なぜ戻らなくちゃいけないの?」から「どうやって、この静寂の場所にたどり着いたの?」へ変える必要がありました。

 

この体験から深い心の平和というものは、いつでも、誰でもつかむことができるという知恵を私は授かりました。涅槃(ニルヴァーナ)の体験は右脳の意識の中に存在し、どんな瞬間でも、脳のその部分の回路に「つなぐ」ことができるはずなのです。

 

 悟りを開きたければ、脳卒中になって、左脳の機能をなくせばいいらしい・・・・実際、わざと脳卒中になるようなリスクは避けたいが、あらゆる宗教に苦行があるのは左脳の機能を低下させるためにあるのだろう。

 

絶食などの荒行をしていると、感覚が麻痺して何も考えられなくなる、そこで右脳が完全優位となって悟りにいたるのかもしれない。

 

左脳は常に否定的な考えを抱くので、左脳のコントロール下から脱して、いかに右脳にアクセスしてポジティブな考えを抱くかが人生を楽しめるキモなのかもしれない。だからこそ、ラテンな人たちはあんなに辛い境遇でも「ハッピー!」と思えるのだろう。中南米全体が完全に右脳優位の人間の集まりだと思うと、彼らの国の現状にひどく納得できる。

 

また作者は感情などの反応能力は生理現象としては90秒以内に確実に終わるので、その後は各個人がどのような反応を示すかは自由だと指摘している。どんなに怒っても泣いても、生理現象としては90秒で終わり、そのあとは選択できると思うと人生の選択肢は広がる。

 

人生のいかなる場面においても、常に自分が左脳で判断しているのか、右脳で判断しているのか自覚すると、新しい発見があるかもしれない。

 

今、自分自身が実践している催眠も、左脳の機能を低下させて、涅槃の境地に導く方法の一つだと思う。瞑想もそうだし、ある意味サウナで「ととのう」もその一つなのだろう。左脳を黙らせれば、なんでもいいのかもしれない。ダンスや歌、あらゆるスポーツも熱中すれば、それだけ幸福感が得られるのは左脳の機能低下によるものだろう。俗に言う「フロー」というやつだ。

 

作者がいうように「幸せは探すものではなく、すでに人間に備わっている」と知るだけでも、人生がより豊かになる。ただ、ずっと右脳に繋がったままだと自分と他者との境界がなく、まるで液体のような感覚になるとのことだ。だから、自己(セルフ)を保つためには左脳は必要とのことだ。

 

確かに、日本人よりも明らかに右脳につながっているラテンの人々を見ると・・・・人生、バランスが大事!