思えば長い戦いだった。 Jリーグが発足する前から日本代表を応援しているので、かれこれ20年ぐらいになる。
当時は横山謙三という人が監督で、めちゃくちゃ弱かった。 今では考えれられないことだが、イタリアW杯アジア1次予選であえなく敗退しているのだ。
それから、オフト監督→ファルカン(なぜ?)→加茂周監督→岡田監督→トルシエ監督→ジーコ監督→オシム監督、そしてまた岡田監督とめまぐるしく監督が変わった。考えてみれば、この20年間に変わった日本の首相の数のほうがはるかに多いので、日本代表監督のほうが総じて彼らよりは優秀だったのかもしれない。
ただこれらの監督の名前だけ見ても、日本サッカー協会は特になんの指針もビジョンもなく当てずっぽうに監督選びをしているのがよく分かる。特にトルシエ、ジーコ、オシムという流れになんの戦略も感じられない。
個人的にはオシムは監督としても人間としても素晴らしいと思うし、彼が率いたサッカー日本代表をワールドカップという舞台で見たかったのも事実だ。だが、オシムが日本代表監督に選ばれたのは日本サッカー協会の功績ではなく、当時千葉のGMだった祖母井さんがヨーロッパから引っ張ってきたことによるので、むしろ祖母井さんの慧眼を褒め称えるべきだろう。
そして、ザッケローニ監督だ。 どっからどう考えても歴代の日本代表監督のなかで実績でも実力でもナンバーワンの監督だ。
この4年間の戦いぶりをみても、それを裏付けている。
日本サッカー協会のサッカーオタク原強化委員長が世界中を探して見つけてきた監督だけある。 初めて、日本サッカー協会が能動的に動いて、世界から引っ張ってきた監督と言えるだろう。←遅いよ。
ザッケローニ監督が4年前に日本代表監督を引き受けた時、彼は当然前代表監督である岡田監督の実績を超えることを自分のノルマとして課したはずだ。なにせイタリアのプロリーグであるセリエAでACミランを優勝させた監督だ。国際的に知名度の低い岡田監督の実績を下回るようなことはザッケローニにとってはあってはならないことだ。
ワールドカップ・ベスト8。
普通に考えて、日本代表にとって順当な結果はベスト16だとは思う。
だからそれを超えるためにはどうすればいいかと、4年前彼は日本代表監督を引き受けた時に考えたはずだ。
そして、そのひとつの答えが「本大会での若手の成長と爆発にかける」という明確な指針だ。だから、この4年間で彼は常に若手を優先してきたし育ててきている。
闘莉王や中澤などを最初から起用せずに、当時21歳だった吉田麻也をセンターバックに抜擢している。でも、今やレギュラーとなった森重を彼の相棒と起用するのではなく、兄貴分である今野を一貫して起用して、吉田麻也をプレッシャーから守り大切に育ててきたわけだ。
そして、いよいよ明日、この4年間の集大成を見せる時が来た。 今の日本代表ならばどんな強豪でも、2,3点は取れる。
ハマれば、3−0,4−0で勝つこともあるかもしれない。 そんな妄想はこの20年間一切抱くことすらなかった。
ザッケローニ監督になって初めて、日本が世界を驚かせることがあるかもしれないと思った。
日本のような若手主体のサッカー新興国にとってみれば、初戦での戦いがすべてだ。 この試合で伸るか反るか、それが一番の鍵だと思う。
ロンドンオリンピックでもベスト4までは勝ち進めた。 だから、ベスト8、あるいはその先に進むのも決して不可能ではない。
なにしろ、今までで史上最高の監督とメンバーで挑む大会なのだから。
幸運を祈る。