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旅とタンゴをこよなく愛する。カラダナオル創業者。

クラウドソーシングで占う各国の未来について

日本ではそれほど話題にならなかったが、クラウドソーシングのELANCEとODESKが合併して、1年以上経った。

世界最大規模のクラウドソーシング Elance CEOが語る -「企業は正社員とフリーを使い分ける時代に」

2013年からずっと使っている者としては、特に何も変化を感じていないが、以前は「時給で払う単純作業」をODESK、デザイナーやエンジニアを雇うときはELANCEと分けていたが、いまはその必要もなくなった。

クラウドソーシングの正しい使い方:身近な他人よりも赤の他人

最近、つとに思うのだが、クラウドソーシングを利用すれば、「誰でも経営者、雇用者」気分を味わうことが出来、その教育効果は思った以上に高いのではないかということだ。

たとえば、ホームページを作ることにして、そのためにはデザイナー、コーダー、エンジニア、さらに時には翻訳者が必要なる。そのすべてをクラウドソーシングで調達することが可能だ。それでも単純なウェブサイトであれば、2,3万円で作成することが可能だ。

多国籍のチームを率いる経験なんて一昔前では外資系企業でもない限り、無理だったが、今では数万円で可能になった。

クラウドソーシング

上記は応募のあった件数と国々を表している図だが、アフリカからヨーロッパ、それにアジアまで様々な国から応募があることが窺える。世界中の応募者から取捨選択して、そのプロジェクトに合ったフリーランサーを選ぶ作業は思った以上に難しい。

とくに腕の良いエンジニアを選ぶ作業は至難の技だ。 もちろん、彼らの過去の仕事や評価を見ることは可能だが、ワードプレスECサイトのような簡単なサイト構築で得た評価だとあまり参考にならない。

個人的に手痛い失敗も数多くしてきた。 そこで学んだことはクラウドソーシングを使う場合は、とにかく作業を細分化して、プロジェクトをいくつか立てて、リスクを分散することだ。

以前であれば、サイト構築などは開発会社一社に一任することが当たり前だったし、自分もそう思ってきたが、それで大きな失敗をしてからは、とにかくプロジェクトを複数立てて、リスクを分散することにした。

たとえば自分が運営するオンライン英会話スクール「ワンズワードオンライン」で、今回メンバーサイトの改修を行った。 (まあ、もともととあるインド人に依頼した仕事でしたが・・・・無残な結果になり、すべてやり直ししました)

その際は下記ステップを踏んだ。

ステップ1.あらゆるデバイスに適切に表示できるように、すべてのファイルをレスポンシブHTMLにする。(担当:日本人コーダー)

ステップ2.レスポンシブHTMLファイルをサーバー上に載せて動くように動的ファイルにする。(担当:マケドニアの会社)

ステップ3.それを実際のサーバーに移して、バッチ処理などすべての動作がきちんと動くようにする。(担当:ボスニア・ヘルツェゴビナ人のエンジニア)

GitHubとBitbucketの比較

複数のエンジニアを雇うためには上記のようなサービスを使えば、その管理も容易になり、すべてのバグや修正はそこで閲覧出来るので、わざわざファイルを共有する必要もない。

複数のチームを指揮する必要があるので、雇用者の負担は大きくはなるが、一社に委託するリスクのほうがむしろ怖い。そして、世界中の人々と仕事する上で、そのリスクにも敏感になる。

自分の経験上、東欧の人々は仕事に対する誇りが高く、こちらとしては仕事がしやすい。反面、アジアの人々はお金にやたらと細かく、仕事がきちんと仕上がることに熱心というより、より多くの報酬をいかに得るかに注力する傾向が強い。

もちろん、あくまで個人的な経験だし、例外もあるだろう。

だが、このようなことを研究対象として、クラウドソーシングで仕事を依頼した場合の各国の人々の行動の仕方などを今後研究すれば、色々と面白い発見があるかもしれない。

極端な話、彼らの仕事の仕方で彼らの国の経済の行方が占えるようになるかもしれないのだ。

英語でのやりとりがネックになるかもしれないが、そのためには下記のようなサービスが役に立つ。(ステマ

人力!リアルタイム英文添削サロン・ワンズワード

ただ、散々クラウドソーシングを使い倒してきたものとして言えるのは、国やバックグラウンドも違う人たち相手に仕事をするのは、やはり相当な忍耐力が必要ということだ。語学力よりもむしろそっちのほうが大事かもしれない。

グローバル、グローバルと騒いでいる大学が多いので、それこそ大学の授業で、課題として「クラウドソーシング(ELANCE)を使って、ホームページ制作」を行って、その世界の本当のグローバリゼーションとはなにかを実際に体感することは意義があると思う。各国チームの調整、英語でのやりとりによるコミュニケーション・ギャップ、時差によるタイムラグなど様々なことが体験できるだろう。

そして、何よりもチームリーダーとして決断をする役目を負うことによって、将来の仕事にも絶対に役に立つ。

普段の仕事でそれほど多くの決断をすることがない日本社会では、それはそれは大きな経験となるだろう。