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旅とタンゴをこよなく愛する。カラダナオル創業者。

ブエノスアイレスにて:タンゴとは

35時間以上のフライトを経て、ようやく日本からみて地球の裏側にあるアルゼンチンの首都ブエノスアイレスに着いた。飛行機でたまたま隣になったアルゼンチン人が中国で大学の教授をしている方で、生まれて初めて生粋のアルゼンチン人と中国語で話すというシュールな体験もした。

 

空港にはイグナシオが迎えに来てくれて、泊まる場所まで送ってもらい、それから二人でタンゴを踊りにミロンガへと繰り出した。

 

イグナシオの新しい彼女が日本からグミを買ってきて欲しいと言われて、「なぜ?」と素朴な疑問が湧いたが、下記ビデオをみて納得がいった。

 

 

グミなんて全く食べないので、何とも思わなかったが、世界では騒然らしい・・・・すごいぜ、日本のグミ!

 

またそのミロンガでは、福岡で知り合ったタンゴ青年のもう一人のユウキくんと合流した。

 

(イグナシオからは、そんなにユウキという名前は日本では当たり前の名前なのかと訊かれたが、そうではない・・・・たまたまだ。)

 

イグナシオと知り合って10年以上経つが、彼が真剣な恋人を持つのはこれが初めてだ。だから、「今まで付き合った女性たちと違って、なぜ今の彼女はそれほど特別なのか?」と訊いてみた。イグナシオからは「それはめちゃくちゃいい質問だ!」と言われたが、個人的には納得できる答えは返ってこなかった。

 

本人は気づいてないかもしれないが、彼女がけっして特別なわけではなく、彼自身の心境の変化によるものだろうなとただ思う。でも、そこは10年来の友達だから、暖かく見守っていこうとは思う。

 

イグナシオやユウキくんと色々と語りながら踊っているとあっという間に朝の4時になり、それぞれタクシーに乗って帰路に着いた。35時間のフライトのせいで体内時計が狂ったのか、翌日は朝の8時には目が覚めて、ブエノスアイレスの街を散策した。

 

最後に来たのは2017年の夏だが、明らかに治安はよくなっている。アルゼンチン人は、ブエノスアイレス市内に多くの警察官を配置したおかげで治安が良くなっていると思っている。

 

しかし、久しぶりに来た人間からとしては、コロナのせいではないかと思う。

 

観光客が途絶え、アルゼンチンという国が身ひとつでやっていかないといけなくなり、当然外国人狙いの窃盗や空き巣は減っただろう。だからこそ、コツコツと働くことを覚えて、正しい道を歩み出した人がいたのかもしれない・・・・これはなんの根拠もないことだが、そうだとすれば素晴らしい。

 

(近所を散歩して、普段は食べない朝食を食べた・・・・でも半分しかたべきれなかった。)

今日午後の予定は特に何もなかったが、結局イグナシオと二人でアルゼンチンといえば肉だろうということで、ランチに肉を食べに行った。

 

そして、この後はユウキくんと二人でディナーをして、またタンゴを踊りに行く予定だ・・・・男祭りか。

 

ただ、ブエノスアイレスでタンゴを踊っていると、ただただタンゴとは男女の踊りだと思う。人生と同じくただのゲームだし、それほど重くもなく、実は圧倒的に軽い。

 

昨日、パレスチナ人の女性とタンゴを踊った。彼女は京都大学にも留学したことがあり、そして結局ブエノスアイレスに住み着いて、タンゴを生業とするようになった。正直、あまり深くはきけない感じだ。というか、訊いても自分に彼女の深さや闇を理解できないだろう。

 

ただ彼女のタンゴは常人を超えたタンゴだった。きっと人生を賭けているのだろう。でも、それでも一緒に踊ることはできる。

 

パレスチナ・・・・と聞いただけで悲劇の一つは二つは容易に想像できる。そんな国から京都に留学して、さらに結局ブエノスアイレスに住むことになった人生とは・・・・考えても想像がつかない。

 

10年来の友人の恋人に何も言うことがないように、ブエノスアイレスで自由に踊るパレスチナ人の女性についても何も言う言葉は見つからない。

 

ただそこにあればいいのだろう。

偉そうに聞こえるかもしれないが、それがタンゴというものだろう。